2025年4月にフィールド&マウンテンの登山ツアー部門「Yamakara」に入社した中島ちひろさんと小野さや菜さん。ともに異業種(中島さんは元介護士、小野さんは元保育士)からの転職で、Yamakaraに入った動機の根っこにあるのは「山が好きだから」という気持ちでした。
未経験で登山ツアー業界に飛び込んだきっかけや、現在の仕事の楽しさややりがい、これからやってみたいことなど、入社1年目のフレッシュな視点で存分に語り合ってもらいました。

■山の魅力を人に伝える仕事がしたかった(小野)
――お二人の前職は、中島さんが介護士、小野さんが保育士だったそうですね。なぜ異業種からYamakaraに転職を?
中島 わたしは前の職場をやめたあと、業種や職種にこだわらず、長く働けそうなところを探していたんです。でも、楽しそうだと思える仕事があまりなくて。そんな中、「山と溪谷オンライン」でYamakaraの募集を見つけました。登山の仕事であれば、刺激があって楽しそうだし、自分が行きたい山ややりたいことをツアーとして企画できるのも魅力的だと思って応募したんです。
――プライベートで山は登っていたんですか?
中島 そうですね。山に興味を持つようになったのはスノーボードがきっかけで。小学生のころにスノボを始めて、高校生になると少しずつバックカントリーにも挑戦するようになりました。いつかは北アルプスの槍沢や立山で滑ってみたいと思っていたところ、知り合いから「山を滑りたいなら、まずは雪山登山からだよ」とアドバイスされ、さらに「雪山を登るには、まずは夏山を登るべき」とも言われまして。たまたま山登りをやってみたいという友達がいたので一緒に始めたら、そのまま登山にもハマってしまったんです。

――小野さんは?
小野 わたしも山が大好きで、以前は地元の保育園で働きながら、休みの日には山に行く生活を送っていました。そんな自分の「好き」にプラスして、保育園で子どもたちを近くの里山に連れて行く機会がありまして。みんなすごく山を好きになってくれて、お散歩をしているときなども「あの山、きれいだね」「雪で白くなってるね」と自然と山の話をするようになったんです。それがすごく嬉しくて。山のことをたくさんの人に知ってもらう仕事に興味が湧き、調べていたらYamakaraのことを知ったんです。
わたしは生まれも育ちもずっと山形で、東京にはまったく縁がありませんでした。でも、富田さん(Yamakara Tokyo)のお話を聞いて「すごく楽しそう!」と心を動かされ、思い切って上京して入社することにしたんです。

――今はどんなお仕事にたずさわっているのですか?
中島 担当エリアが振り分けられて、そのエリアの山に行くツアーを作っています。ツアーは既存のものもあれば、わたしたちが一から企画するものもあります。企画が決まったら、手配をして、お客さんにご案内して、催行されたら添乗をして……とツアー登山の一連の業務を行っています。
――お二人の担当エリアは?
小野 わたしは東北と信越エリアです。
中島 わたしは富士山方面と白馬、あとは北海道も担当しています。
――企画や添乗の業務は、入社後いつぐらいから行うように?
中島 添乗は最初のころからどんどん割り振られて、入っていました。とにかく現場に出て経験を積ませよう、ということみたいで。企画は、初めは先輩社員がある程度まで作ってくれたツアーを引き継ぐかたちで業務の流れを経験させてもらいました。自分で一から企画するようになったのは、入社して半年ぐらい経ってから、担当エリアが決まってからです。
――異業種からの転職で、慣れないことや不安なことも多かったのでは?
小野 わたしの場合、添乗は山に行けるし、お客さんとお話をするのが好きなので、毎回楽しめていました。でも企画は、もし手配ミスがあったりしたら、お客さんに迷惑をかけてしまうじゃないですか。その責任の重さを感じ、自分がミスをしないかという心配が常にありましたね。
中島 わたしは最初のころはやはり添乗が不安でした。Yamakaraのお客さんって常連さんが多いんです。経験の浅い自分が、そんなみなさんをちゃんとご案内できるか、プレッシャーを感じていました。
今でもよく覚えているのは、初めて一人で添乗をした十二ヶ岳(山梨県富士河口湖町)のツアーです。バスに乗って高速道路に入ったのですが、途中のETCゲートのトラブルで大幅に時間が遅れてしまって……。ガイドさんは現地集合だったので、バスの中はわたしだけ。お客さんからは「どうするの?」と質問攻めに遭うし、少しでも早く着きたいのに運転手さんには「休憩を取りましょう」と言われるしで、軽いパニックに陥ってしまったんです。
――いきなりの試練ですね……どう対処したんですか?
中島 ガイドさんに連絡して相談をしたら、「お客さんにこう案内をしてください」とアドバイスをしてくれました。それで何とか乗り切ることができて。今だったらそんなピンチも冷静に対応できるようになりましたが、そのときは初めての一人添乗だったので焦りましたね。

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■自分の「行きたい」「登りたい」を企画に(中島)
――仕事の楽しさを感じるのは、どんなときですか?
小野 自分が企画したツアーに参加してくれたお客さんから「あのツアー、面白かったよ」「ご飯がすごくおいしかった」と喜んでもらえると、わたしも嬉しくなっちゃうんです。それが一番の楽しみですね。
中島 わたしは、自分が行きたい山やルートがあったとき、それをツアーとして企画できること自体がすごく楽しいですし、そのツアーにお客さんが集まってくれて催行できたときは「やったー」という気持ちになります。「わたしと同じ山に行きたい人がこんなにいるんだ!」って。
――これまで企画した中で、一番のお気に入りのツアーを教えてください。
中島 紅葉シーズンに福島の一切経山に行ったツアーですね。山頂から望む「魔女の瞳」と呼ばれる五色沼の展望が見どころで、わたし自身がその景色を見たくて作ったんです。ただ、残念なことにほかの予定と重なってしまい、わたし自身が添乗できなかったので、来秋にまた企画して、次こそは自分が行きたいと思っています。
――一切経山のことは以前から知っていたんですか?
中島 母から「一緒に行こう」と誘われていた山なんです。でも、タイミングが合わず、ずっと行けずにいて。チャンスがあれば行きたいと思っていて、それで企画したんです。
――お母様も山を登られるなら、中島さんが登山ツアーの仕事に就いて、喜んでいるんじゃないですか?
中島 喜んでますし、なぜかめちゃくちゃ張り合ってきます。「わたしはここに登ってきたよ」って、LINEで送ってきたりするんです(笑)。
――小野さんのお気に入りは?
小野 催行はこれからですが、山形の湯殿山に4月に登るツアーを作ったんです。湯殿山は雪のある時期にしか山頂に立てないのですが、これまでYamakaraでは雪の湯殿山にはツアーを出していなくて。お客さんには出羽三山が好きな人が多いので、「いつか山頂まで行くツアーを作りたい」と思っていて、その念願が叶った企画なんです。
――一番は「山形」の山……地元愛が強いですね。
中島 小野さんってたしか、夏も東北ばかり行ってたよね(笑)。
小野 地元がとにかく好きなんです。添乗に行っても「山形ってこれがおいしいんですよ!」「ここがめっちゃいいんです!」と、お客さんにいろいろおすすめしていました。山形の魅力をいっぱい伝えたいし、お客さんに「山形っていいところだな」と思ってもらいたかったので、この夏は山形のツアーの添乗に行きまくっていましたが……ちょっと行き過ぎだったかもしれないですね(笑)。
中島 そんなことないよ。むしろ、羨ましいな、と。自分は東京出身で「ここが自分の地元」という場所がないけれど、小野さんは入社したころから山形のいいところをたくさん教えてくれたし、今は東北エリアの担当になって楽しそうに東北の山のツアーを作っているでしょ。ほんと素敵だなって思うよ。お客さんからも「小野さんと山形に行くと楽しい」という話を聞いているし。
小野 そう言ってもらえると、私もすごく嬉しいです!

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■お客さんとの距離の近さにびっくり(中島)
――Yamakaraに入って、驚いたことはあります?
中島 ひとつは企画に関してで。自分の好きなことややりたいことがそのままツアーとして商品になることが驚きました。もちろん行程や価格設定などについては先輩に相談しますが、自分で考えたとおりにツアーを作れてしまうのは、この会社ならではだと思います。
もうひとつは、お客さんとの距離の近さです。ガイドさんとお客さんが知り合いみたいな雰囲気で話をしたりして、ほかの会社の方からは「あり得ない」とよく言われます。それにみなさん、Yamakaraのことにすごく詳しいんです。「あのツアー、いつ出るの?」とわたしが知らないツアーについて聞かれることもあり、お客さんの方がツアーについて知っていたりするんですよ(笑)。
小野 わかります! 「Yamakaraオタク」みたいな方がいっぱいいらっしゃいますよね(笑)。「人生の楽しみはYamakaraです」とか、「Yamakaraでこの1年、楽しく過ごせました」と言ってくださる方もいて。Yamakaraのツアーが、みなさんの人生になくてはならないものになっていることが伝わってきて、すごいなぁと思います。
中島 このツアーは誰々が作った、と企画担当者まで把握している方もいるよね。常連さんになると、なんとなくわかるみたいで。
小野 いつかは「小野が作ったツアーだから行ってみたい」と思ってもらえるような社員になりたいですね。

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■今後企画したいのは「芋煮山行」(小野)
――職場の雰囲気はいかがですか?
中島 すごく働きやすいです。わからないことや困ったことがあっても、先輩たちに質問や相談をすると、すぐに答えてくれますし。尊敬できる方たちばかりです。
小野 わたしも中島さんと同じですね。何かあったとき、気兼ねなく話ができる環境があることはありがたいです。それに、いつも見守ってもらえている、という安心感や心強さがあります。
中島 社員だけではなく、山岳ガイドの方や添乗員さんなど、いろんな世代、いろんなバックグラウンドの人たちとご一緒できるのも魅力ですね。
小野 たしかに。自分でツアーを作るとき、わからないことがあっても、それぞれのエリアに精通した人が必ずいるから、聞けばいろいろ教えてもらえますよね。その山にはどんな見どころがあって、どのシーズンに行くのが一番いいのかとか。自分の中の山情報がどんどん増えていきます。

――仕事を通じて、これまで知らなかった山のことを知るようになると、登りたい山も増えるんじゃないですか?
中島・小野 増えました!!(笑)
――今後はどんなツアーを企画してみたいですか?
中島 わたしはアメリカの国立公園が好きなので、いつかイエローストーンやヨセミテのツアーをやってみたいです。そして、もしできるのであれば、たとえば1週間という日程だけ決めて、歩くルートや泊まる場所はその日の天気やメンバーの希望によってフレキシブルに変えていく自由なツアーがいいなと。事前に行程表などが出せないので現実的には難しそうですが。
小野 わたしは、何年後とかではなく、来秋には絶対やりたいと考えている企画があります。それは山形の芋煮会です。毎年秋になると、山形県人って「じゃあ、今日はあそこの河川敷で」みたいな気軽な感じで、あちこちの河川敷で芋煮会をするんです。それをぜひYamakaraの企画として、東京や埼玉、神奈川の河川敷や山の麓でやってみたいなと。山を登ったあとに芋煮を食べるって、すごく楽しそうじゃないですか?
中島 芋煮山行だね(笑)。
――きっとお客さんには「これは小野さんの企画だ」とすぐにわかっちゃうでしょうね(笑)。では、最後にYamakaraに興味を持ってくれた人に、ひと言メッセージをいただけますか?
小野 山が好きな人にはぴったりな仕事だと思います。オフィスで山のことを考え、添乗で山に行き、休日のプライベートでも山に登ったら、生活のすべてが山一色になってしまいますが、山好きだったらきっとそれはすごく幸せなことなんじゃないでしょうか。
中島 添乗でいろんな山に行けるのも、山に関わるさまざまな人と出会えるのも、この仕事だからこその魅力です。自分のやりたいことをそのままツアーとしてかたちにできることが楽しいですし、企画したツアーに対して、お客さんがちゃんと集まって催行できるのか、参加したみなさんに楽しんでもらえるのか、という反応がダイレクトに見えることもやりがいにつながると思います。
――お二人がお仕事を楽しんでいる様子や充実した雰囲気がすごく伝わってきました。ありがとうございました!

